年頭所感
経済産業省北海道経済産業局長 池山 成俊
令和4年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
昨年を振り返りますと、一昨年から猛威を振るう新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、様々な社会経済活動が制限されたことに伴い、我が国経済は大変厳しい状況が続きました。
その後、ワクチン接種が進み、国内の新規感染者数や病床使用率の落ち着きなどを受け、全国的に発令されていた緊急事態宣言が解除され、経済社会活動が正常化に向かう中で、景気が持ち直していくことが期待されますが、供給面での制約や原材料価格の高騰による景気下振れリスクなど、いまだ経済動向には注視が必要な状況です。
北海道経済に目を向けますと、足下では個人消費に持ち直しの動きが見られるなど、一部に明るい兆しも見えておりますが、北海道の基幹産業である食・観光関連産業を中心として、依然として、厳しい状況が続いております。
一方で、2023年開業に向け計画が順調に進んでいる「北海道ボールパーク構想」、2030年度末開業予定の「北海道新幹線札幌延伸」やそれに伴う札幌駅周辺の再開発、テレワークやオンラインサービスの普及を追い風とする「道外企業の本社移転や拠点開設」など、北海道経済活性化の起爆剤となりえる話題も出てきています。
私ども北海道経済産業局では、こうした成長に向けた機運をとらえ、北海道経済の未来を切り拓くため、次の3つの政策に経済産業施策を総動員して取り組んでまいります。
第一に、コロナ禍からの脱却・成長に向けた中小企業等の事業環境整備です。まずは、事業復活支援金や資金繰り支援を通じて事業継続を下支えするとともに、コロナ後を見据えた事業再構築に取り組む中小事業者等の果敢な取組を支援してまいります。併せて、事業承継・再生、BCP策定、人材の確保を支援するほか、企業に寄り添って経営課題を解決する伴走型支援に取り組みます。さらに、加速的に広がりつつあるデジタルトランスフォーメーション(DX)を大胆に推進し、コロナ禍で甚大な影響を受けた地域企業の生産性向上と競争力強化を目指してまいります。
第二に、スマートかつ強靭な地域経済社会の実現に向けた取組です。地域の課題や新しい兆候などを踏まえ持続可能な成長を目指し、農林水産物・食品の輸出やアドベンチャーツーリズムの推進など北海道経済を支える食・観光関連産業の取組を支援していきます。また、スタートアップの発掘・成長支援やオープンイノベーションの推進、中長期的な成長が期待できる宇宙関連産業、バイオ産業、スポーツ関連産業等を支援してまいります。さらに、新たなモビリティーサービス(MaaS)、ドローンなどによる地方からのデジタル実装を推進するとともに、基礎自治体との連携を深化させ、地域の特色を生かした地域経済活性化に努めてまいります。
第三に、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取組です。全国でもトップクラスのポテンシャルを有する北海道の再生可能エネルギーの最大限導入を目指し、昨年10月に設置した「北海道再エネ研究会」での検討を通じて、政府の「ゼロカーボン北海道タスクフォース」と連携した取組を進めるとともに、建築物のZEB導入拡大を始めとする徹底した省エネルギーの更なる追求、CCUS/カーボンリサイクルを促進してまいります。また、安全性の確保を大前提とした泊発電所の再稼働、寿都町と神恵内村における高レベル放射性廃棄物の最終処分に関する文献調査等について、地域のご理解とご協力を得ながら取り組んでまいります。
加えて、将来にわたるエネルギー・燃料の安定的な供給を確保し、レジリエンス強化や更なる北海道経済の成長に繋げてまいります。
本年は新型コロナウイルス感染拡大による影響からの早期回復に向け、北海道経済産業局の真価が問われる重要な一年となります。地域の声を傾聴し、フットワーク軽く、関係機関の皆様とともに「北海道経済の自立的かつ持続的な成長」の実現に向けて職務に邁進いたしますので、より一層のご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
結びに、本年が皆様にとって実りの多い飛躍の年となりますよう、心から祈念いたしまして新年のご挨拶とさせていただきます。