経済産業局長年頭所感
経済産業省北海道経済産業局長
鈴木 洋一郎 様
我が国は、名目GDP600兆円、設備投資100兆円をそれぞれ超え、賃金も33年ぶりの高い賃上げ率を実現させました。半導体やデータセンターなどハード面での国内投資が地域経済の大きな牽引役となり、「失われた30年」から「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への移行の潮目にあります。
一方、北海道は全国を上回るペースで人口減少が進むほか、高齢化率も全国平均に比べて高水準である等構造的な課題に直面しています。また、賃上げを行う中小企業の中には、業績改善がみられない中での「防衛的賃上げ」が行われているケースも含まれています。
「国内投資拡大、イノベーションの加速、国民の所得向上」により「日本経済・地方経済の成長」を目指し、私ども北海道経済産業局においては、以下の取組を全力で推進してまいります。
まず、DXとGXが牽引する更なる国内投資促進です。次世代半導体やデータセンターの拠点化を北海道において着実に進めていくとともに、関連する産業の取引活性化やデジタル人材の質と量の確保にも注力していきます。それら新たな電力需要をはじめ北海道内のエネルギー安定供給を目的に、徹底した省エネの推進、安全性の確保を大前提とした泊発電所の再稼働、洋上風力や地熱など地域と共生した再生可能エネルギーの導入拡大、水素・アンモニア等の新たなエネルギーの利活用拡大やCCSの事業化に向けた環境整備を進めるとともに、地域のご理解とご協力を得ながら高レベル放射性廃棄物の最終処分に取り組んでまいります。
第二に、地域の強みを生かした新たな挑戦の支援です。食・観光産業の国際競争力の強化に向けて、食品製造現場の生産性向上や輸出拡大の支援、観光資源を生かした地域産業の活性化に取り組みます。また、スタートアップ企業と大手企業とのマッチングやエコシステム等の構築に取り組んでいくとともに、宇宙産業等の北海道の特性を生かした新産業の創出も推進してまいります。中堅・中核企業の新事業展開や若手後継者(アトツギ)の新分野進出の支援、中小企業等への資金繰り・事業再生など地域企業が新たな挑戦に取り組んでいくために必要な環境整備にも引き続き注力してまいります。
第三に、地域経済を支えてきた地元企業の力を生かした「地方創生」の実現です。中小企業・小規模事業者の持続的発展に向け、価格転嫁対策やパートナーシップ構築宣言等による取引適正化を推進し、賃上げに向けた企業の原資確保も後押しするとともに、中小企業の生産性向上や商品展開力・サービスの向上、円滑な事業承継等を支援して参ります。また、都市間の移動距離が長いことなどに起因する北海道で顕著な物流課題を解決するための取組など、経済活動を支える社会インフラの課題解決にも挑戦していくほか、消費者取引の適正化、製品安全確保等を進め、消費者の利益を守ります。
本年も関係機関の皆様とともに、「強い北海道経済」、「地方創生」の実現に向けて職務に邁進いたしますので、より一層のご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
本年が皆様にとって実りの多い飛躍の年となりますよう祈念し、新年のご挨拶とさせていただきます。