元新聞記者 試行錯誤の1年

水越 和幸
中小企業診断士 / パクス経営事務所代表
自己紹介
北海道新聞社に30年余り勤め、2023年に退職。経済記者時代に身につけた知識・経験を生かし社会に貢献したい-。そんな思いで、中小企業診断士を目指し、24年11月に登録しました。現在は公的機関での支援や専門学校非常勤講師などのほか、広報アドバイザーとしても活動しています。
畑違いの世界へ
中小企業診断士に登録した約1年前、多くの知人から「畑違いの仕事ではないか」と言われました。私の前職からすると、そう思われても仕方がないかもしれません。
ただ、自分では、「輪作」を始めたと思っています。30年以上、同じ会社で仕事をしていて「連作障害」を起こしていた。心機一転、畑に植えるものを変えてみたと考えるようにしています。
「千本ノック」の洗礼
独立後の1年で、最も多くの学びを得たのが、国の無料相談所「北海道よろず支援拠点」コーディネーターの仕事でした。業種も課題も異なる事業者の方々が、次々に相談に訪れます。それぞれ背景や事情も違う中、限られた時間で課題を整理し、次の一歩を共に考える。本部の方が、その仕事内容を「千本ノック」と表現していますが、まさにその通りと実感しています。
弁護士や税理士、社会保険労務士のほかITや食など、さまざまな専門家を擁するのも、よろず支援拠点の特徴です。社会保険や税務などの知識を問われたり、SNSを活用したマーケティング導入の相談を受けたりした場合、専門のコーディネーターに同席していただくと一気に視界が開けることがあります。多様な観点から企業支援を考えることができ、貴重な機会です。
攻守所を換えて
前職の経験を生かした広報・PRの仕事にも本格的に取り組みました。中心は、プレスリリース作成の助言です。記者として長年、プレスリリースを受ける側にいましたが、攻守所を換えて発信する側に回っています。どう書けばうまく伝わるかを模索する日々です。
秋には、株式会社PR TIMESのプレスリリースエバンジェリストになりました。プレスリリース活用を周囲に広める人が認定されるものです。これを機に、「受け手」と「出し手」双方の視座から見た有効なPR手法を、各地で伝えていこうと考えています。
PR業務は、マスコミに取り上げられれば一定の満足感が得られます。しかし、そこで終わってしまえば、尻すぼみになりかねません。しっかり売上や利益を上げられるよう、伴走を続けることが重要と肝に銘じています。
教える難しさ痛感
札幌商工会議所専門学校で非常勤講師も務めています。若い世代と向き合う中で、刺激を受けると同時に、「分かりやすく伝えること」の難しさを痛感しています。自分では理解しているつもりの内容も、言葉を選び、順序を整理しなければ伝わりません。教えることによって、学ぶことも少なくないと感じています。
ライターとしての仕事も再開しました。2026年からは、経営者のインタビュー記事を執筆する予定です。これまでの取材経験に、企業支援の視点を重ねることで、経営を掘り下げた文章を書いていきたいと考えています。
実り多い2年目に
振り返ると、この1年は試行錯誤の連続でした。一方で、その一つ一つが、次の一歩につながっていくと前向きに考えています。今後は、数年先を見据えた事業計画策定や、少し規模の大きい事業者の伴走支援などにも注力するつもりです。これまでの経験に新しい知見を掛け合わせ、実り多い2年目にできればと思っています。
