独立1年目のこれまでとIT環境整備支援

寺田 卓尚
中小企業診断士 WHITEHORSE CONSULTING代表
自己紹介
寺田 卓尚(てらだ たかひさ)と申します。北海道で独立系大手のIT企業に新卒から17年間、COBOLを使ったレガシーなシステムの開発・保守・営業から、サーバ、ネットワーク、PCなどのITインフラの更新のプロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャーなどを務めてきました。最後の2年間に従事していた業務を会社から引き継ぐ形で2025年4月に独立しました。
現在は引き継いだお客様の下で、IT戦略に関するCIO層、選択したITシステムを導入するまでのプロジェクトマネジメント層、導入したあとのITシステムを実際に運用するシステムエンジニア層の各層まで、上流から下流までを支援をしております。また、別のチームに所属して補助金の申請支援も並行して行っています。
独立に至るまで
前職時代の2023年から現在に至るまで、建設コンサルの会社にお世話になっています。前職で上司から、システム運用・ITサポート窓口的な役割を広く展開するためのビジネスモデル設計を命じられ、システムエンジニア的な立ち位置から参加して、お客様のIT環境の調査と理解をすることから始めました。
一方、付加価値を高くしていくことにも価値と手ごたえを感じたため、次第にお客様に最適なIT環境の整備と導入を進めるCIO的・プロジェクトマネージャ的な役割に発展させていきました。
2025年2月、上司にシステム運用・ITサポート窓口のビジネスモデル設計と併せてIT戦略担当・推進を担える社外CIO的なビジネスモデルを説明したところ、社内で想定していた顧客ではそこまで売り込めないであろうこと、寺田と同じ役割をできそうな人を確保する時間的・金銭的コストをかけられないとのことから、後者の案は不採用となりました。
ここで、後者の案が不採用となったことからこちらに可能性を感じていた私は退職の意を伝え、いろいろあって(笑)お客様の業務を私に引き継ぐことになり、独立が決まりました。
独立後の活動
前職からお世話になっていたお客様の仕事をそのまま引き継いだので、仕事の内容はほぼ変わりませんでした。しかし、経営者としてお客様と向き合うことになり、より求められる振る舞いを意識するようになりました。社内講師・勉強会をしたり、担当外のシステムでも、お客様側のアドバイザーとして参加してシステム要件の調整をしました。業務外ではお酒もいっぱい飲んだし、会議室で歌ったし…(もちろんイヤイヤではなく進んでです!)様々なことをして受け入れられるように、より私の価値が高まるように振る舞ってきました。
お酒の席での振る舞いにより私のパーソナリティが伝わったことで、相談しやすくなったとの話を聞きました。セキュリティ事件があった場合には「相談しにくいこと」事態がリスクになってしまうので、これはリスクを未然に小さくできた点で想定外の収穫でした。セキュリティ担当の方はパーソナリティをさらけ出して相談しやすい環境を作っておくことをおススメします。
ほか、並行して補助金の申請支援を行っています。特に今期はIT導入補助金の採択傾向が以前と変わっていろいろ賑わっていましたね。チーム内で力を合わせて各回の採択率よりも高くできたのはまあまあうまく進められたなと思います。
IT環境整備について
さて、いまお世話になっているお客様のIT環境について、大きく以下の4点課題があります。
- 来年以降更新できないと分かっているグループウェア(スケジュールや施設予約や掲示板などをまとめた社内コミュニケーションソフトウェア群のこと)を移行する
- Webサービスなどのアカウントを整理する
- 前任者に相談されなかったことを整理する
この中で特に影響の大きいグループウェアの移行についてお話ししていきましょう。
グループウェアの移行前調査
導入しているグループウェアは、お客様IT環境でも最も古いITサービスの一つです。掲示板やファイル公開、設備や会議室予約など、定番の機能は他のサービスでも代替可能ですが、厄介なことに独自開発のアプリがありました。
運用するためのルールや手順はありますが、その手順も極めて煩雑で時間がかかるものとなっています。これが不要となれば、移行の選択肢が広がります。何の目的で作られたものなのか?誰が使っているのか?そもそもこれは必要なのか?移行前に探る必要があります。
IT末法思想
急に仏教の話をします。「末法思想」という言葉をご存じでしょうか。日本史を履修していた方なら聞いたことがあるかもしれません。末法思想とは「釈迦が説いた正しい教えが世で行われ、悟り、涅槃に入る人がいる時代(正法)が過ぎると、次に教えが行われても外見だけが修行者に似るだけの時代(像法)が来て、その次には釈迦の本来の教えが何であったかが分からなくなり正法が失われる時代(=末法)が来る、とする歴史観のこと(Wikipedia)」です。
つまり、悟りも教義も修行もある時代から、悟りはないが教義と修行がある時代に移り、やがて教義だけが残り修行も悟りも成り立たない時代へ移っていき、形だけが残って世の中が混乱していく、という考え方です。
ITシステムにおいても同じようなことが度々起きます。
「誰が何の目的で作ったかわからず利用されているのかもわからないが、なぜか毎年更新のされているシステム・機能が存在する」状態。皆さんもこの状況を見聞きしたことがあるかもしれません。
このような機能・システムを残していくと、利用していくための運用コストも、問い合わせ対応やアップグレードなどの保守コストも無駄にかかってしまうことになります。
DXの手前
IT末法思想の状態では、DX(=デジタル技術とデータを活用して、ビジネスモデル、業務プロセス、組織文化などを根本的に変え、新たな価値創造や競争優位性を確立する取り組み)は進められません。
私がお世話になっているお客様のIT環境では、IT末法思想の状態がいくつか見られました。
一例を挙げると、従業員の過去の業務実績を登録する機能があります。登録の手順が著しく煩雑であり、利用者が分からないにも関わらず、年度を更新するという業務があります。私としては契約に含まれているので更新業務はやりますが…本当に必要なのかの吟味を今後していくことになります。不要かどうかの判定はECRSの原則に従って進めるのが良いでしょう。一例にしたケースに当てはめると…
E…不要なシステム・機能は捨てて今後は更新しない、使わない
C…プロジェクト管理の機能と実績管理機能を連動させる
R…登録の機能だけを抜き出して他のサービスと置き換える
S…登録する内容や手順を簡素化させる
といったところになるでしょうか。
実態はS程度の整理にとどまっていますが、今後はRを目指していけるよう、グループウェア移行前に検討を進めています。
2年目へ向けて
幸いなことに、お客様からの評価は高くいただいているようで、来年も契約継続できそうです。もっとも、グループウェアの更新という大きなプロジェクトがあるので、「逃がさないぞ」という意味もあるのかもしれませんが…私が可能性を見出した役割に対し、ダイレクトな評価とスピード感を持って臨めるのは大変ありがたいことです。
お客様のIT環境整備を通じての価値向上と、併せて私の価値向上も目指して2年目も同じくらいの濃度で頑張っていきたいと思います。
