<こんなシアターがあってもいい>
『今月のテーマは「ゴールNo5/ジェンダー平等を実現しよう」です、古今東西の名作を集めました。来月は「ゴールNo14海の豊かさを守ろう」、海水温の上昇が気候変動をもたらしているなか、その状況を皆さんと一緒に考えていきます。私たちは従業員が一丸となって、年間100本のSDGsに貢献する作品上映を目指し、ゴールNo4「質の高い教育をみんなに」に貢献する映画館として頑張っています』。こんなメッセージを発信する映画館である。
実は長年成人映画専門だったシアターが、今年に入ってから内外の秀作を上映する映画館に転換した、と思ったら、最近また成人映画に戻っていた。お客さまが入いらなかったのだろうか。ではどうすれば良かったのか?を考えてみた。
<興味を惹く作品を上映する>
鑑賞者を呼び込むための第一歩は、作品をしっかり選ぶことだ。自分たちなりのテーマを設定して取捨選択する。たとえばジェンダーを取り上げる。関心のある人は多いし、作品も幅広くある。あるいは、森林破壊のドキュメンタリー、世界中の子供たちの映画、人種差別との戦い、世界中に広がる貧富の差、大量の廃プラスチックが漂う海、絶滅危惧種、社会にはびこる不正、AIDSやCOVIT19 に戦いを挑む科学者たち。他にもたくさんある。
<SDGsで語るメッセージ>
これらのテーマはSDGsのゴール番号に言い換えることができる。ジェンダーならNo5「ジェンダー平等を実現しよう」、児童のことならNo4「質の高い教育をみんなに」のみならず、 No3「すべての人に健康と福祉を」、 No10「人や国の不平等をなくそう」も当てはまる。No1「貧困をなくそう」も重要だ。ドキュメンタリー映画なら言うに及ばず、他のジャンルの映画でもOKだろう。映画には鑑賞者に伝えたいメッセージが必ずあるし、その背景には何らかの社会的な問題が下敷きになっていることが多い。この社会的な問題をコンパクトに、もれなくまとめたのがSDGs17のゴールだから。
<顧客課題の解決イコールSDGs>
事業活動はSDGs17のゴールのどれか、あるいは複数に貢献している。そのゴールにもっと貢献する、さらに他のゴールにもチャレンジすることが、自社を成長させる。なぜなら、ビジネスは顧客課題解決、これは社会が抱えている問題に通じ、それは社会的課題の解決に他ならない、そしてイコールSDGs17のゴールだ。
学校教育にSDGsが組み込まれ、マスコミにもしばしば取り上げられ、現代社会が抱えてる課題が、ゴール番号とともに周知されてきている。これからは鑑賞者に自分たちの取り組みを、SDGsの番号を使って語りかけることが、有効なコミュニケーション手段になる。SDGsが社会の共通認識となりつつある現在、これを活用しない手は無い。
<コミュニケーションに大活躍>
来館者に「どんな作品を鑑賞したいか」訊いてみてはどうだろう。作品を選ぶ際のミーティングに加わってもらうのも一手。その意見を参考に「こんな視点で選びました」とSDGs番号付きのコメントを上映作品に添える。感想を書き残してもらうと、作品を選ぶ際に役に立つ。
他にも活用方法がある。従業員の皆で話し合って、ゴール番号を決め上映作品を選ぶのだ。色々話し合ううちに、面白いアイデアが生まれ、新ビジネスが実現するかもしれない。とにかく色々な人たちの意見を聞いてみると良い。No17「パートナーシップで目標を達成しよう」が最も重要だ、と言われる所以でもある。
<私たちは変わらなくてはならない>
現代社会は身近な場面でも私たちに変化を求めている。高齢化社会への対応ならばNo11「住み続けられる街づくり」に関係が深いし、脱プラスチックならNo12「つくる責任つかう責任」とNo14「海の豊かさを守ろう」も大切だ。事業の成長や健全な組織はNo8「働きがいも経済成長も」のみならず、多くの番号に貢献する。これらの番号は、私たちが働いて価値を創造し、社会に貢献する、その目的でもある。持続可能な地球のために、私たちはどう変われば良いのか、その答えはSDGsに記されている。 インターネットで件の映画館を調べていたら、上映作品を変えていった理由やその背景、経緯には色々な事情があったようである。この文では諸般の事情は加味せず、筆者のイメージで書いたものである、ご了承願いたい。