災害の多発と企業の事業継続力強化

北海道で発生した災害

防災白書(http://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/index.html)で北海道を対象とする2000年以降の災害救助法の適用実績を調べてみました。

  • 2000(平成12)年 有珠山噴火
  • 2003(平成15)年 台風第10号
  • 2006(平成18)年 佐呂間町竜巻
  • 2012(平成24)年 11.27暴風雪
  • 2016(平成28)年 台風第10号
  • 2018(平成30)年 胆振東部地震

地震や噴火は地球温暖化と関係ないかもしれませんが、今後も自然災害はいろいろなところで発生し続けるのでしょう。

感染症の脅威に加えて、今後も発生するであろう災害の中で、企業は存続していかなければなりません。

危機は必ず訪れる

ドラッカーも組織に危機は必ず訪れること、それでも経営は継続しなければならないと説いています。

幸か不幸か、いかなる組織にも危機は来る。必ず来る。その時がリーダーに頼るときである。リーダーにとって最も重要な仕事は、危機の到来を予期することである。回避するためでなく備えるためである。危機が来るまで待つことは責任の放棄である。暴風雨を予期し、先手を打たなければならない。それがイノベーションである。倦むことのない刷新である。

『非営利組織の経営』p9

今日存在する企業、今日成功している企業が、明日も存在し、明日も成功するようにすることが企業家としてのマネジメントである。成功がそのまま永久に続くことはありえない。企業も人の作ったものであって不死はない。しかし企業は人の一生を越えて永続し、経済と社会への貢献を続けなければならない。実に企業の永続こそ、マネジメントにとって決定的な評価基準である。

『マネジメント(上)』p54

災害対応力としてのBCP

経営を取り巻く環境から受ける脅威に対して、備えを用意し、危機が訪れたときに実際に行動に起こすことができるよう計画をしておくのがBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)です。2019年版中小企業白書(https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2019/2019/index.html)には、BCPを策定済みの企業が17%程度との記載があります。

BCP策定がなかなか進まないこともあり、策定のハードルを下げて、被災時の初動だけでも考えてもらおうと、事業継続力強化計画の認定制度が2019年にできました。

事業継続力強化計画の認定制度

防災・減災に取り組む中小企業がその取組を「事業継続力強化計画」としてとりまとめて国に申請し認定を受けるというBCPにはなかった制度が創設されています。中小企業庁のページ(https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/antei/bousai/keizokuryoku.htm

この強化計画に盛り込む内容は、

  1. 事業継続力の強化に取り組む目的
  2. 災害等と事業活動に与える影響の想定
  3. 被災時の初動対応
  4. 経営資源を災害から守るための具体的対策
  5. 計画の実効性を確保する平時の推進体制

といった項目を定型の様式に記入していくことで、一通りでき上るようになっています。丁寧な解説がついた「策定の手引き」も公表されていますので、自社に合わせてアレンジすることで文書を完成させ認定を受けることも可能でしょう。

もっとも、文書を作っただけで企業組織の事業継続力が向上するとも思えませんので、認定を契機として防災の意識を高めることに組織として時間を割くようにしていってはいかがでしょう。

災害対応力の強化はSDGs

SDGsの169ターゲットの中には災害に関連するものが6つあります。
それだけ世界中で災害が頻発し、災害によって困難な状況に置かれる人が多いということなのでしょう。

1.52030年までに、貧困層や状況の変化の影響を受けやすい人々のレジリエンスを高め、極端な気候現象やその他の経済、社会、環境的な打撃や災難に見舞われたり被害を受けたりする危険度を小さくする。
2.42030年までに、持続可能な食料生産システムを確立し、レジリエントな農業を実践する。そのような農業は、生産性の向上や生産量の増大、生態系の維持につながり、気候変動や異常気象、干ばつ、洪水やその他の災害への適応能力を向上させ、着実に土地と土壌の質を改善する。
11.52030年までに、貧困層や弱い立場にある人々の保護に焦点を当てながら、水関連災害を含め、災害による死者や被災者の数を大きく減らし、世界のGDP比における直接的経済損失を大幅に縮小する。
11.b2020年までに、すべての人々を含むことを目指し、資源効率、気候変動の緩和と適応、災害に対するレジリエンスを目的とした総合的政策・計画を導入・実施する都市や集落の数を大幅に増やし、「仙台防災枠組20152030」に沿って、あらゆるレベルで総合的な災害リスク管理を策定し実施する。
13.1すべての国々で、気候関連の災害や自然災害に対するレジリエンスと適応力を強化する。
13.3気候変動の緩和策と適応策、影響の軽減、早期警戒に関する教育、啓発、人的能力、組織の対応能力を改善する。

自社の事業継続力を高めることは、SDGsへの貢献にもつながっています。

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