デザインのジレンマ

はじめまして、デザイナーの宮下です。

私は最近あるジレンマを感じています。それはパッケージデザインのお話です。

みなさんもお気づきでしょうがこの頃、コンビニの飲料コーナーにラベルレスのペットボトルを見かけるようになりました。ラベルレスにすることでプラスチックゴミが減り、さらに廃棄時にラベルをはがす作業も不要となります。

ただし、もとの形状のままラベルレスにしてしまうと、お茶・水・コーヒーなど殆どの商品が他社のものと同じような見た目になり、区別がしにくくなります。そこで飲料メーカ各社はボトルの形状そのものに工夫をこらして、ラベルレスでも個性を持たせるようにしています。

それは素晴らしい取り組みですが、中小企業に対して安易にパッケージを簡素化する取り組みを勧めることはできません。というのも中小企業がそのようなエコに取り込むことにはデメリットもあるからです。

中小企業は大企業のように専用のマークを入れた特徴のあるボトルを独自に開発することなどは金銭的に困難であるため、既製の包装資材を利用しています。なんの変哲もない「うつわ」をさらに簡素化してしまうと商品のセールスポイントがよりわかりにくくなることは避けられません。新商品や認知度が低い商品ならば、なお、売上に大きく影響する恐れがあります。

確かに環境保護の観点から考えると、過剰包装は地球に優しくありません。

しかし、ビジネス的な観点から考えると、幾重にも重なった重厚感のある箱や丁寧な個別包装によって商品の付加価値を高めている側面があるのです。規模の経済から考えると本来、中小企業は商品の高付加価値化を目指すべきであるといえます。

皆さんは真っ白で簡素な容器に入った商品を今までと同じ価格で買ってくれますか?

そもそも、そのような商品を手に取ってくれますか?

パッケージデザインは売上やユーザの満足度にも大きく影響します。どのようにすればこの問題を解決できるのでしょうか。私はジレンマを感じています。

SDGs目標12 〜 つくる責任、つかう責任

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