SDGsと太陽光発電

Goal7 すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する
7.2 2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。

これは、SDGs17のゴールと169のターゲットの一部です。

この実現のために太陽光発電は有力な選択肢の一つと考えられ、投資も急速に増加してきました。

2011年の重大で悲惨な福島第一原発事故をきっかけに再生可能エネルギー拡大の流れや、政策的にも2012年に固定価格買取制度(FIT)が導入され加速的に太陽光発電が普及・拡大してきた流れにも沿うように見えています。

郊外に足を延ばすと、冬季間に落葉した山肌に漆黒の太陽光パネルの群れが浮き上がってくる。私の故郷の丘も丸ごと太陽光パネルに覆われてしまい、異様な光景が広がってしまいました。

一般的に、太陽光パネルの耐用年数は25~30年といわれています。これからすると、2030年代半ば以降、大量の太陽光パネルがその機能を失い、廃棄処分になる可能性があります。こうして考えれば、SDGsゴールの2030年を通過した後に、どんな問題の発生があるか想像をめぐらす必要があると思います。

買取価格設定には、寿命を迎えた太陽光パネルの廃棄コストも含んでいると説明されていますが、実際に費用の積み立て等で準備をしている事業者は少ないのが実態のようである。





出典:資源エネルギー庁「2040年、太陽光パネルのゴミが大量に出てくる?再エネの廃棄物問題」より

また、太陽光発電は他の再生可能エネルギーより参入障壁が低いため、投資用金融商品の色彩をおびるケースも多々あるのが実態であります。そのため、当初の事業者から所有が転々と譲渡されている事例も多数あり、最後の処分責任が曖昧になったり、最終の設備廃棄コストを無視し金融商品としての利回りのみに注目した投資が横行してしまった現実があります。

また、実際の廃棄処理になると、パネルの中に鉛、セレン、カドミウムなどの重金属・有害物質が含まれており、それぞれに適切な処分方法が必要ですが、それらの情報が廃棄処理事業者に正確に伝わり、適正な処理が行われるかの問題もあります。最終的には、「管理型最終処分場」に埋め立て処理が実施されることになるのでしょうが、2030年以降の大量廃棄に耐えられる処分場確保に困難はないのか、処分場はその容積が処分量の上限になる中、中国など海外から大量輸入しその設備コストを引き下げた発電設備の大量廃棄処分が控えています。環境省の資料では2038年の処分予想量はパネルだけで800千トンにおよぶ。このベースが数年間は続くことになる。




出典:環境省「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン」より

一見SDGsに向けた取り組みに見えても、そこから発生する副作用が何かを見極め、それに対応する準備や対策を並行させる必要を感じると同時に、そこに消極的な意味でなく中小企業のビジネスチャンスを垣間見ることができます。

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