顧客と伴走しながらSDGsを考える

概要

吉田と申します。SDGsは小職在住の北海道においても少しずつ浸透してきています。各種メディアの発信などを受けて日々盛り上がりを感じる今日この頃です。今日は小職がお手伝いさせてい頂いている3法人に当てはまるSDGsの目標と、事業への活かし方を紹介したいと思います。

1.化粧品生産販売A社のケース

A社は地場の素材を活かした自然派化粧品の製造販売業を営む事業者です。地域の素材を活かす事業を持っているので、素材を提供する事業主との協業、地域創生がキーワードに上がります。A社は農林業事業者と協業しており、特に協業地域の特に山林が生み出す産物を用いた自然派化粧品を製造販売しています。15.陸の豊かさを守ろうの目標に一役買っていると過言ではありません。A社社長に上記の件を話すと「ウチはそんな大それたことをしていないですよ」と謙遜されます。地方の山林保護をお手伝い。この辺がA社の環境経営のヒントがあると考えています。

2.B助産院のケース

B助産院は産後ケアを提供する事業者です。未熟児や、赤ちゃんの成長が遅れているかもと”不安なママさんへ優しくケアする事業者です。

小職が考えるに、助産院は全てSDGsの「3.すべてのひとに健康と福祉を」に貢献している事業者と言えるでしょう。身近に頼れる親が居ない独りで悩むママさんに適切な乳幼児の医療サービスや、子育て情報・ノウハウを提供する事は未来の社会の担い手を育成する観点からも重要であり、このコロナ禍においても継続的ニーズのある分野です。一部のママさんから「助産院は怖いベテランおばさんがビシビシ子育て指導してくる怖い場所」という誤解があるらしく、誤解の解消にSDGsをのアピールが一役買えるかもしれません。

3.運送業C社のケース

C社は小口運送を主とする下請配送事業者です。運送業にSDGs?と思われるかもしれませんが、C社は中古車販売業も営んでおり、車両整備の体制も社内にあります。その強みを生かしてCO2削減効果のある部品を運送トラックに搭載、環境負荷低減を計っています。これはSDGs「13.気候変動に具体的な対策を」に貢献しているとなるでしょう。C社社長は「SDGsなんて考えた事が無かった」とびっくりしていましたが、CO2削減は最終的には個人、個々の事業者の意識改革と具体的な施策実行が鍵です。十分SDGsと考えられます。大手運送業は環境に配慮したトラックの開発導入を進めている事業社もあり、環境負荷軽減は経営課題になりつつある様子が見え隠れします。C社の環境負荷低減策は、大手運送業の方向性と合致します。アピール方法の1つとしてSDGsを活かせると考えます。

結び

以上3事業者の簡単な事例を紹介しました。きっと御社の事業もサスティナブルな部分があるでしょう。その事業機会がございましたら事業を振り返り、SDGsに貢献しているのか考え、経営への活かし方を検討してみてはいかがでしょうか。

SDGs領域における協業―花王とライオンの事例

2020年の9月に、花王とライオンがプラスチック問題の解決に向け協業することを発表しました。ライバル企業がタッグを組む異例の展開で、多くの関係者を驚かせました。

というのも、花王とライオンは、ともに日本を代表する消費財メーカーであり、洗濯洗剤市場における「花王・アタック」vs「ライオン・トップ」を筆頭に、さまざまな製品で競争を続けてきたからです。

「競争から共創へ」ともいうべき協業の背景には何があったのでしょうか。

プラスチック循環社会の実現へ

花王とライオンは、プラスチック循環社会の実現を目指し協業を開始しました。これまで両社は、それぞれが包装容器のプラスチックの削減に取り組んできました。それを今回、一段階上のステージに引き上げたわけです。

そもそも消費財メーカーというビジネスは、環境負荷が極めて大きいことが知られています。合成洗剤は主に石油から作られ、包装容器には大量のプラスチックが使用されています。

そうした中で、両社は、消費者の生活に密着した製品を販売するメーカーの責務として、製品のライフサイクル全体を通じた環境負荷の低減を目指し、共にプラスチック問題に取り組むことを決めました。

社会課題に一社単独で挑むのは非現実的?

プラスチック使用量の削減やリサイクルの促進は、社会全体で取り組むべき課題です。各社がバラバラに研究開発や啓蒙活動をするのではなく、協業することによって社会に与えるインパクトを最大化できるからです。

実際に、花王とライオンの担当者は口をそろえて協業の必要性に言及しています。プラスチック循環社会の実現するには、プラスチック回収スキームの構築やリサイクル技術の研究開発を共に行うことが不可欠だからです。

”花王広報部の西田氏は「企業一社では、回収やリサイクル技術の開発に限界がある。そこで同じ目的を持つ他社との協働が必要だと考えた」と経緯を説明する。

同様にライオン広報部の大古氏も「歯ブラシのリサイクルを進めているなかで、当社の課題を認識していた。一社単独ではなく、協働することで困難な課題の解決を目指していきたい」と話す。”

   ― 花王とライオン、競合関係を超えてプラを共同で回収より

   https://www.alterna.co.jp/32951/

「ESGに背く投資は1円たりとも認めない」

花王の長谷部佳宏社長(当時)は、2021年1月の日経ヴェリタスのインタビューで「今後は一円たりとも、ESGに背く投資をするつもりはない」と断言し、環境負荷軽減に対する強い覚悟を示しました。

”長谷部佳宏社長が「今後は一円たりとも、ESGに背く投資をするつもりはない」と断言するのは、業容拡大と環境保全を両立させるとの強い意思があるからだ。”

   ―花王「脱プラ」本気の顔 容器戦略もはや経営の根幹より

   https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGD24BFT0U0A221C2000000/

花王は、日本を代表する消費財メーカーとしてESGを経営の根幹に据えています。2019年には、花王のESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」を発表し、プラスチック循環社会の実現に向けたアプローチを強化しています。

一方のライオンも、同じく2019年に「資源循環社会」、「脱炭素」をキーワードに長期環境目標「LION Eco Challenge 2050」を策定しています。これまでにもプラ使用量の削減や、詰め替えの利用拡大に取り組んできました。

このように、花王とライオンは環境負荷軽減のビジョンを共有していました。だからこそ、製品市場ではライバル関係にありながらも、プラスチックリサイクルでは協業することができたわけです。

非競争領域での協業で社会課題を解決

今回の花王×ライオンの協業は、企業の枠組みを超えて社会課題解決にアプローチする代表例といえます。一社単独ではなく、複数の企業が協業することで、ポジティブな社会的インパクトを生み出すことができます。

ESG、SDGsがビジネスの主流になりつつある中で、花王×ライオンのような「非競争領域」における協業は、今後もさまざまな業種・業界で見られるようになってくるのではないでしょうか。

デザインのジレンマ

はじめまして、デザイナーの宮下です。

私は最近あるジレンマを感じています。それはパッケージデザインのお話です。

みなさんもお気づきでしょうがこの頃、コンビニの飲料コーナーにラベルレスのペットボトルを見かけるようになりました。ラベルレスにすることでプラスチックゴミが減り、さらに廃棄時にラベルをはがす作業も不要となります。

ただし、もとの形状のままラベルレスにしてしまうと、お茶・水・コーヒーなど殆どの商品が他社のものと同じような見た目になり、区別がしにくくなります。そこで飲料メーカ各社はボトルの形状そのものに工夫をこらして、ラベルレスでも個性を持たせるようにしています。

それは素晴らしい取り組みですが、中小企業に対して安易にパッケージを簡素化する取り組みを勧めることはできません。というのも中小企業がそのようなエコに取り込むことにはデメリットもあるからです。

中小企業は大企業のように専用のマークを入れた特徴のあるボトルを独自に開発することなどは金銭的に困難であるため、既製の包装資材を利用しています。なんの変哲もない「うつわ」をさらに簡素化してしまうと商品のセールスポイントがよりわかりにくくなることは避けられません。新商品や認知度が低い商品ならば、なお、売上に大きく影響する恐れがあります。

確かに環境保護の観点から考えると、過剰包装は地球に優しくありません。

しかし、ビジネス的な観点から考えると、幾重にも重なった重厚感のある箱や丁寧な個別包装によって商品の付加価値を高めている側面があるのです。規模の経済から考えると本来、中小企業は商品の高付加価値化を目指すべきであるといえます。

皆さんは真っ白で簡素な容器に入った商品を今までと同じ価格で買ってくれますか?

そもそも、そのような商品を手に取ってくれますか?

パッケージデザインは売上やユーザの満足度にも大きく影響します。どのようにすればこの問題を解決できるのでしょうか。私はジレンマを感じています。

SDGs目標12 〜 つくる責任、つかう責任

環境への配慮(SDGs)はビジネスに必須となるか

最近はSDGs(とりわけ環境問題)について目にすることが多くなりましたね。
各企業がこぞって環境対応に乗り出しており、本格的に脱炭素社会への取り組みが始まっているなと感じます。
それでは、各企業の主な対応を見ていきましょう。

大国の経済をけん引するような企業の対応

我々の身近なところでの変化

消費者側の意識の変化

これからのブームを作り、消費の中心になっていく「Z世代(※)」では環境への意識が高いといわれています。
生まれた時からインターネットがあり、物心つくころにはiphoneがあり、高度経済成長期のような大量生産大量消費で経済が伸びていく時代を経験していない世代は、現代の物にあふれ、大量に廃棄されていく現状に辟易している人も多いと考えられます。

※Z世代とは(Wikipediaを参考に記載)
 主に2010年代から20年代に社会に進出する世代。生まれた時からインターネットが利用可能な「真のデジタルネイティブ世代」。デジタル機器やインターネットが生まれた時から当たり前に存在し、PCよりもスマホを日常的に使いこなし、生活の一部となっている。インターネットから多くの情報を得ており、自身も情報発信力に長けている。

私の本業でも

ほかの企業と同様にプラスチック容器を使用しています。
SDGsの取り組みについて経済産業省から表彰されていますし、環境対応型容器への準備は進めていると聞いていますが、スピード感が非常に早くなった現代において、5年も10年もかけていたら世間に置いて行かれることは明白ですので、いかに時代の変化に機敏に対応できるかも生き残るためには重要だと考えます。
他の企業が対応していくのであれば、自社の相対的魅力を維持するためにも環境対応は必須になっていきます。つまり、環境への意識が高まっているお客様に今後も商品やサービス選んでいただくためには、SDGsや環境への配慮は必須だということだと考えます。

これは、本当の意味でSDGsを理解した行動ではないのかもしれませんが、「やらない善よりやる偽善」とでも言ったらいいのでしょうか、どんな理由にせよ、多くの企業が重い腰を上げて環境配慮型のビジネス感覚が普及することを願います。

SDGsは「らしさ」を語る言葉


 自分がこれから何を目指すのか、誰しもしばしば頭に浮かぶことだし、企業経営者なら毎日のように考えていると思う。
 それを17のゴールを使って説明してはどうだろう。「自分が目指すこと」は、どこかしら誰かの「お悩み解決」につながっているだろうし、SDGsは現代社会や世界が抱えている問題、言い換えると「お悩み」をまとめたものだから。

 経営者として、自分が考えていることをSDGsで語る。そして、従業員と一緒になって自分たちの未来の姿を17のゴールで考え、表現してみる。それは、あなたの会社の「ありたい姿」を明文化することだし、言い換えると「らしさ」を語ることに他ならない。
 この「らしさ」の実現に、皆の意識が向かうのは言うまでもないだろうし、それはすごく楽しい作業となり、組織が元気になる。

 私たちSDGs研究会は、自社の現在の取り組みをSDGsを使って確認し、それをベースにありたい姿、言い換えると「未来の姿」を17のゴールで表現するワークショップを開発・サポートしている。

フェアトレードの歴史と札幌の取り組みについて

1.概要
フェアトレードは、1946年、アメリカのキリスト教系救援開発NGO(現 テン・サウザンド・ヴィレッジ)のエドナー・バイラー氏が、プエルトリコの貧しい女性たちが織る刺繍製品を購入し、教会でチャリティ販売を始めたことが起源とされ、その後、1960年代にイギリスやオランダなどヨーロッパ諸国でフェアトレードの活動が広がっていきました。
1960年代に入ると、貧困から抜け出して自立を促すような開発志向の側面が強まります。この時代には、従来とは別の貿易のしくみを作ろうということで「オルタナティブ・トレード」という言葉が使われていました。
「オルタナティブ・トレード」では、中間業者を廃し,直接取引をし,オルタナティブな販売網でボランティアのようなオルタナティブな労働力を使った貿易が行われました。
1980年代末、不況とフェアトレード商品の品質が課題となったことで、フェアトレード市場の売り上げが低迷し、それまでは商品の品質にはこだわりを持たない倫理的な消費者が購入するものでしたが、高い品質を求める一般消費者にもマーケットを拡大していく必要性に迫られたことで、フェアトレード団体でビジネス志向の動きが強くなってきました。
これによって、別の貿易のしくみを作ることを意図していた「オルタナティブ・トレード」から、すでにあるしくみを「フェア」なものへと変えていこうとする「フェアトレード」へと呼び方が変わってきました。
「フェアトレード」という言葉が使われたのは1985年とされています。
日本でのフェアトレード活動が本格化したのは、1980年中ごろからになります。 

2.フェアトレードの活動の分類
文献2によりますと、フェアアドレードの活動は、①新規参入促進型、②取引条件改良型、③プロモーション・啓発型、④マクロ貿易システム改良型の4つに分類されます。
① 新規参入促進型(1946年〜)
初期のフェアトレードでは、教会やチャリティ団体が主体となり、各団体が支援する途上国の生産者が作った手工芸品を直接輸入し、各団体が運営する専門店で販売する活動でした。これは、既存の貿易システムから取り残された発展途上国の生産者を貿易に取り込むことによって、収入の機会を提供していくことを目指した活動となっています。

<主な出来事>
1946年  アメリカのキリスト教系救援開発NGO(現 テン・サウザンド・ヴィレッジ)のエドナー・バイラー氏が、プエルトリコの貧しい女性たちが織る刺繍製品を購入し、協会でチャリティ販売を開始
1949年  米国プレザレン教会(ドイツ系)がSERRVという団体を組織し、第2次大戦後に難民化したドイツ人がつくった鳩時計を輸入・販売
1964年  イギリスで国際NGOオックスファムが中国人難民の手工芸品を販売(イギリス初のフェアトレード)
1967年 オランダのNGO、スティッチングSOSが貿易部門を設立し、ハイチの木製彫刻品を輸入・販売

<オックスファムについて>
オックスファム(Oxfam)は、1942年、ナチス軍による攻撃で窮地に陥っていたギリシア市民に、オックスフォード市民5人が、食糧や古着を送ったことが始まりであり、設立当初の名称は、「オックスフォード飢饉救済委員会(Oxford Committee for Famine Relief)」でした。
1965年にからオックスファム(Oxfam)へと改称しています。

② 取引条件改良型(1973年〜)
1970年代に入ると、貿易に参加はしているものの、不利な取引条件を強制されていた生産者に向けて、公正な取引条件の提供を目指す活動が進められました。
1970年代後半からは、生産者の自立支援だけでなく,一般企業にフェアトレードを取り入れさせることを目指し従来の市場そのものの変革を目指した活動へと進んでいきます。

<主な出来事>
1973年  スティッチングSOSがグァテマラの小規模生産者組合から輸入したコーヒーを「公正に取引された(Fairly Traded)コーヒー」として販売を開始。これは、取引条件改良型の始まりとされています。
1980年~ 紅茶、カカオ、砂糖等多くの一次産品が公正に取引された商品として先進国で販売
1979年  スコットランドにイコール・エクスチェンジUK 設立。フェアな貿易条件を求めるようになっていきます。
1979年  英国トレード・クラフト設立。一般企業にフェアトレードを取り入れさせることを目指した活動を行います。

③ プロモーション・啓発型(1980年代後半〜)
持続可能なフェアトレードにしていくためには、それを扱う企業や購入する消費者を増やしていくことが必要でした。そのためフェアトレード団体は、先進国の企業や消費者に向けて、啓発活動・販売促進を強化させるとともに、団体間の連携を強めてネットワーク化が進展していきます。

<主な出来事>
1985年 第三世界情報ネットワーク(TWIN)設立
TWINの代表であったブラウン氏が「フェアトレード」という用語を最初に使用したといわれています。
1987年 欧州フェアトレード連盟(EFTA)設立
ヨーロッパのフェアトレード輸入業者の集まり
1988年 Max Havelaar(世界最初のフェアトレード・ラベル)が作られる
オランダの教会が母体のNGOによって考案
1989年 オルタナティブ・トレード国際連盟(IFAT: 現在のWFTO)設立
これは、先進国の輸入団体や途上国の生産者団体の集まり
1994年 欧州ワールドショップネットワーク(NEWS!)設立
これはヨーロッパのフェアトレード専門店の集まり
1994年 フェアトレード連合(FIF)設立
北米のフェアトレード団体の連携組織
1997年 国際フェアトレード・ラベル機構(FLO) 設立
フェアトレード認証ラベルの統一組織
1998年 FINEを形成
FLO、 IFAT、 NEWS!、EFTAによる非公式なネットワークで、アドボカシー(政策提言)活動の強化を目的としたものです。
1997年 フェアトレード・フォートナイト開催(イギリス全土で開催されるキャンペーン)
2000年 イギリスのガースタングが、町民集会で世界初の「フェアトレードタウン」を宣言
2001年 Fairtrade Foundationが5つの基準を策定してフェアトレードタウンを認証制度化
2003年 オックスフォード・ブルックス大学が世界で最初のフェアトレード大学に認定
2009年 IFATがWFTO(World Fair Trade Organization)へと転換

④ マクロ貿易システム改良型(1990年代〜)
1995年に世界貿易機関(WTO)が設立されて以降、自由貿易体制が急速に推進されます。また多国籍企業による発展途上国での労働搾取も表面化しました。これを受けて多くのフェアトレード団体が、国際機関や各国の政府に対して貿易システムの変革を行うよう政策提言もし始めます。

<主な出来事>
1999年 IFATやNEWS!が、WTOに対して貿易システムの改善を求める意見表明書を発表
2004年 ベルギーにフェアトレード・アドボカシー事務局(FTAO)設置
国際機関や各国政府に対する政策提言活動の窓口としてフェアトレードの政治的な地位の強化に務めています。

3.日本でのフェアトレード活動
1974年
日本の国際協力NGO「シャプラニール」がバングラデシュで生産者協同組合の設立を支援し、生産された手工芸品を日本で販売開始
1986年 第3世界ショップが日本で最初にフェアトレード事業を開始。当初はヨーロッパのフェアトレード商品を輸入・販売
1989年 オルタトレードジャパン(ATJ)設立
1991年 グローバルヴィレッジ結成
グローバルヴィレッジは、環境保護と国際協力の民間団体で、1995年1月にはフェアトレードの輸入販売の事業部門を独立させて「フェアトレードカンパニー株式会社」を設立しています。
1992年 ネパリ・バザーロ(ネパリ・バザーロと市民団体ベルダレルネーヨ)活動開始
1993年 4月  日本最初のラベル商品発売
1993年11月 トランスフェアジャパン発足
トランスフェアジャパンは、2004年2月に法人化。名称をフェアトレード・ラベル・ジャパンに変更しています。
1995年 「ぐらするーつ」設立
NGOや有志が力や知恵を出しあって設立された草の根の市民団体で、フェアトレード商品の輸入販売やイベントの企画・運営を行っています。
1997年 10月 「草の根貿易商談会」開催(ジェトロ池袋展示場)
フェアトレードをもっと多くの方々に知ってもらうためのイベントです。
2011年 「フェアトレードタウン・ジャパン」設立
まちぐるみ、地域ぐるみでフェアトレードを推進する「フェアトレードタウン運動」の国内での普及を目指した団体です。
2011年  熊本市が日本初のフェアトレードタウンに認定。
その後、名古屋市(2015年)、逗子市(2016年)、浜松市(2017年)、札幌市(2019年)、いなべ市(2019年)がフェアトレードタウンに認定。

4.北海道でのフェアトレード活動
札幌市では古くからフェアトレード活動が盛んで、1980年代後半のフィリピン、ネグロス島のキャンペーンに賛同したJCNC北海道がバナナを輸入して「民衆交易」を開始したのが始まりと言われています。
その後、1990年代に入り、フェアトレード品の常設店の開店が相次ぐとともに、2002年からはフェアトレードフェスタを開催。現在は「フェアトレードフェスタinさっぽろ」として、毎年大通公園で大規模に開催されています。
さらに、2019年には札幌市が国内5番目のフェアトレードタウンに認定、続いて、同年、北星学園大学と札幌学院大学が国内2番目のフェアトレード大学に同時認定されました。

こういった活発なフェアトレード活動により、私たち一人一人がローカル/グローバル、どちらのレベルでも大きな影響を持つ市民であることへの気づきを生み出しています。これを、「フェアトレードタウンさっぽろ戦略会議」会長を務める、北星学園大学教授 萱野智篤先生は、「グローカルな市民意識」と呼んでいます。 

5.SDGsとフェアトレードの関係
フェアトレードは、SDGsよりはるかに歴史が古く、貧困や生産者の健康、経済成長、環境問題など、課題解決のテーマがSDGsと共通しており、SDGsの理念を伝え、我々の「ありがとう」を生産者に伝える役割も担っているといえます。そのような観点から、「フェアトレードは、SDGsのメッセンジャー」であると言えます。

<参考資料>
1) 「10分でわかるフェアトレード」、石丸オリエ、シンポジウム「フェアトレードが広げるスポーツの輪」資料(2019)
2) 「フェアトレードを学ぶ人のために」 佐藤寛(編)、世界思想社(2011)
3) 「フェアトレードの歴史」、フェアトレードショップ「パルマルシェ」HP (2021)(https://parmarche.com/pages/aboutfairtrade/)
4) 「フェアトレードの歴史と動き」、ネパリ・バザーロHP
 (http://www.nbazaro.org/history/history.htm) (2020)
5) 「フェアトレードの歴史と「公正」概念の変容」、 山本純一、立命館経済学(第62巻・第5・6号)(2014)
6) 「フェアトレードタウン運動基本のき」、菅野智篤、自由学校「遊」連続講座資料(2019)
7)  「札幌市のフェアトレードタウン認定への歩み」、菅野智篤、自由学校「遊」連続講座資料(2020)
8) 「フェアトレードの推進」、札幌市HP (2021)
(https://www.city.sapporo.jp/kokusai/cooperation/fairtrade.html) (2021)
9) 「さっぽろフェアトレードパンフレット」、フェアトレードタウンさっぽろ戦略会議 監修、札幌市総務局国際部交流課(2020)

SDGsと太陽光発電

Goal7 すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する
7.2 2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。

これは、SDGs17のゴールと169のターゲットの一部です。

この実現のために太陽光発電は有力な選択肢の一つと考えられ、投資も急速に増加してきました。

2011年の重大で悲惨な福島第一原発事故をきっかけに再生可能エネルギー拡大の流れや、政策的にも2012年に固定価格買取制度(FIT)が導入され加速的に太陽光発電が普及・拡大してきた流れにも沿うように見えています。

郊外に足を延ばすと、冬季間に落葉した山肌に漆黒の太陽光パネルの群れが浮き上がってくる。私の故郷の丘も丸ごと太陽光パネルに覆われてしまい、異様な光景が広がってしまいました。

一般的に、太陽光パネルの耐用年数は25~30年といわれています。これからすると、2030年代半ば以降、大量の太陽光パネルがその機能を失い、廃棄処分になる可能性があります。こうして考えれば、SDGsゴールの2030年を通過した後に、どんな問題の発生があるか想像をめぐらす必要があると思います。

買取価格設定には、寿命を迎えた太陽光パネルの廃棄コストも含んでいると説明されていますが、実際に費用の積み立て等で準備をしている事業者は少ないのが実態のようである。





出典:資源エネルギー庁「2040年、太陽光パネルのゴミが大量に出てくる?再エネの廃棄物問題」より

また、太陽光発電は他の再生可能エネルギーより参入障壁が低いため、投資用金融商品の色彩をおびるケースも多々あるのが実態であります。そのため、当初の事業者から所有が転々と譲渡されている事例も多数あり、最後の処分責任が曖昧になったり、最終の設備廃棄コストを無視し金融商品としての利回りのみに注目した投資が横行してしまった現実があります。

また、実際の廃棄処理になると、パネルの中に鉛、セレン、カドミウムなどの重金属・有害物質が含まれており、それぞれに適切な処分方法が必要ですが、それらの情報が廃棄処理事業者に正確に伝わり、適正な処理が行われるかの問題もあります。最終的には、「管理型最終処分場」に埋め立て処理が実施されることになるのでしょうが、2030年以降の大量廃棄に耐えられる処分場確保に困難はないのか、処分場はその容積が処分量の上限になる中、中国など海外から大量輸入しその設備コストを引き下げた発電設備の大量廃棄処分が控えています。環境省の資料では2038年の処分予想量はパネルだけで800千トンにおよぶ。このベースが数年間は続くことになる。




出典:環境省「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン」より

一見SDGsに向けた取り組みに見えても、そこから発生する副作用が何かを見極め、それに対応する準備や対策を並行させる必要を感じると同時に、そこに消極的な意味でなく中小企業のビジネスチャンスを垣間見ることができます。

知っていますか? 「相対的貧困」

いきなりですが、SDGsの掲げる17のターゲットの中で、関心が「低い」のはどれですか?
関心が「高い」ほうはパッと思い浮かんでも、低い方はすぐにはなかなか浮かばないんじゃないかと思います。

企業活動であれば特に自社の事業領域にかかわりの深いものには自然と目が向き、関心も高まります。木材加工業なら「15.陸の豊かさも守ろう」に、医療福祉関係なら「3.すべての人に健康と福祉を」コミットしていくのが自然な流れですよね。

が、何しろSDGsには17コもゴールがあるわけで、意識していかないと「全てのゴールを達成する」という目標やゴール同士の連鎖性を見失う危険性があるな、と私は常々思っています。

何だかんだ言っても日本は世界第3位の経済大国。
ものづくりや医療のレベル・教育水準は高いし、先進国の責務として環境保全のへの意識も高い。国際協調にもそれなりに貢献してるし、「2.飢餓をゼロに」とか「6.安全な水とトイレを世界中に」あたりはもう与える側に立っている、と当たり前に考えている人が大多数なんじゃないでしょうか。

逆に、特に至らない部分についてはメディアが積極的に取り上げてくれるので、意識が醸成される傾向にありますね。
具体的に言うと「5.ジェンダー平等を実現しよう」ですが、日本のジェンダー・ギャップ指数は153ヵ国中121位だとか、女性政治家や官僚や管理職が際立って少ないとか、クォーター性を取り入れるべきだとか、テレビや新聞でよく見かけます。

こうした日本国内の事情を考えると、「貧困」は日本人が目を向ける機会の少ないゴールじゃないでしょうか。世界的にはこうした問題があることを認識してはいても、どこか「対岸の火事」感があるとでもいいましょうか。

今回は「貧困」について考えてみましょう。

「貧困」の定義は国や地域や機関によってさまざまですが、UNDP(国連開発計画)の例では「教育、仕事、食料、保険医療、飲料水、住居、エネルギーなど最も基本的な物・サービスを手に入れられない状態のこと」ということになっています。

こう聞くと南米のストリートチルドレンや紛争地域の難民なんかをイメージしてしまいませんか? 確かに、この水準の「貧困」に該当する人も「日本にもゼロではないだろうけど、そう多くはないだろう」という印象を持ちそうになります。

UNDPの定義とは別に「絶対的貧困」と「相対的貧困」という考え方もあります。
「絶対的貧困」は前述したUNDPのいう貧困状態のこと。「相対的貧困」は「国や社会、地域など一定の母数の大多数より貧しい状態のこと」を差します。

所得でいえば「国民の所得の中央値の半分未満であれば相対的貧困にあたる」とされ、日本の場合は年収約122万円以下ということになります。
月収にならせば10万円程度。だんだんリアルになってきましたね。

ところで、厚生労働省の「毎月勤労統計調査 令和2年分結果確報」によると、パート収入の全国月間平均額は99,378円。

10万円、切ってます。

まあこれには「家事育児との両立を考えて労働時間をセーブしている人」や「配偶者の扶養の範囲内で働きたい人」「年金などメインの収入があるので追加の収入はちょっとでいい人」「働きがいを求めたり社会との接点を絶やさないために働くのであって、収入は二の次という高齢者」など、いろいろなパターンがあるので、パートで働く人のすべてがこの程度の収入しか得られないというわけではもちろんありません。

しかしネガティブなパターンを考えてみると、国内の相対的貧困の実態がボンヤリと浮かび上がってきます。
「片親であり、子供はまだ手のかかる年頃」
「自身にこれといったスキルがない」
「自身に持病があり、長時間働くことができない」
「家族の看病や介護のため、まとまった時間がとれない」
「借金があり、その返済のために可処分所得が減る」
などの事情が2つ3つ重なれば、働ける時間はいとも簡単に減ります。
パートであれば「働ける時間の減少」イコール「収入の減少」です。

ここまで考えると、この日本にも相対的貧困の状態にある人が相当数いるであろうことが想像できると思います。

さらに、日本には相対的貧困を見えにくくする文化のカーテンがあります。
私は「恥ずかしさのカベ」と読んでいますが、日本人には「周りに助けを求めるのは精一杯がんばってから」「本当にやむを得ない事情があるわけでもないのに、助けを求めるのは相手に申し訳ない」「『武士は食わねど高楊枝』。苦労していることは隠し通すべき」という気持ちがあります。
苦労を表に出さないことが一種の美徳になっちゃってるんですよね。

周囲に「助けて」と言いにくい。助けを求めたら社会の落伍者になってしまう……
そうした思いが経済的困窮を包み隠し、せっかくの福祉が届くべきところに届かない。
最近よく耳にする「生きづらさ」という言葉の真因は、日本のこの「恥ずかしさのカベ」が関係しているのではないでしょうか。

日本では誰にでも福祉を利用する法的な権利があります。
しかし、社会がそれを認めるとは限りません。

「あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ」。
「貧困」のゴール達成のために、まずは国内の相対的貧困を直視してください。
よろしくお願いします。

観光業の持続性について

観光業への逆風環境

 10年ほど前のことですが、全国各地の観光資源の開発と商品化に関する日本商工会議所の案件に、外部の事務局運営サポートメンバーとして関わっていたことがありました。そのプロジェクトの受託者であった知人から先日久々に連絡があり、課題は変わらず、事業も継続されているようだから、何かできることを考えてぶつけてみたい、ついては云々、という話。

 以前は「観光に適した地域資源の発掘、マーケティングと商材開発、営業とPR」が事業の範囲であり、インバウンド向けの展開が本格化する前だったので国内観光客の獲得が主目的でした。その後、インバウンドマーケットの急拡大により、外国人旅行客の優先度が高まり、2020年に4000万人、2030年に6000万人の外国人旅行客を目標に据えていた中で、想定外の感染症の大流行が発生し、2年目の今も予断を許さない状況に至っています(2020年は全世界的にも国際観光客が10億人も減少した史上最悪の年とのこと)。

 なので、従前の活動の繰り返しだけでは進行中の課題(≒自粛と規制による観光需要の減少)の解決に繋がる見込みは薄い。難しいのは承知の上で、優先度の高い課題から逃げないことが重要なはず、と返答したのですが、やはり解決策は見当たりそうもない。少し考えてみようと思いました。

持続可能な観光業という課題

 「観光」についてはSDGsでも言及されています。[8.働きがいも経済成長も][12.つくる責任 つかう責任][14.海の豊かさを守ろう]の3つのゴールの中のターゲットにあります。キーワードは『持続可能な観光業』。観光業の担い手側の雇用、地方の文化振興と産品販促という側面と、オーバーツーリズムに対する地域/環境の保全のバランスが重視されていると言えます。『持続可能な観光』という考え方は、世界観光機関(UNWTO)でも「訪問客、業界、環境および訪問客を受け入れるコミュニティーのニーズに対応しつつ、現在および将来の経済、社会、環境への影響を十分に考慮する観光」と定義されており、[増大する観光需要の適切なコントロール]という視点に立脚していると思います。

SDGsの中の「観光」
8-9.2030年までに、雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業を促進するための政策を立案し実施する。
12-b.雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業に対して持続可能な開発がもたらす影響を測定する手法を開発・導入する。
14-7.2030年までに、漁業、水産養殖及び観光の持続可能な管理などを通じ、小島嶼開発途上国及び後発開発途上国の海洋資源の持続的な利用による経済的便益を増大させる。

 一方、現状は(一時的だと思いたいですが)全地域的な観光需要の減少に見舞われており、真逆の課題が呈されている訳ですね。需要が減少しているのは「自粛と規制」による影響が大きく、観光に対する欲求が失われている訳ではありません。観光を通した相互理解やネットワーキング効果は[17.パートナーシップで目標を達成しよう]にも寄与するものですし、想定とは逆方法でありますが、観光業の持続可能性という課題の重要性は揺るがないです(特に観光が基幹産業となっている北海道のような地域では)。

旅行者が来訪しない中で観光業ができることを考える

 「観光(ツーリズム)」の定義を見てみると、「レジャー、ビジネス、その他の目的で、連続して1年を超えない期間、通常の生活環境から離れた場所を旅行したり、そこで滞在したりする人の活動」(世界観光機関「観光統計に関する勧告」1993)のように、[現地に行くこと]を前提にしていることが一般的だと思われます。ですが、この定義も既に約30年経過していますし、来訪してもらわなくても提供可能な観光体験を実現する環境が整ってきているとも言えます。[現地での観光の提供]をすることは当然のこととして、それに加えて「その場所にいない人の(観光)行動/体験によって生じる収益」を得る方法論が求められていると思うのです。 これに対する回答の一つはオンライン活用です。コロナ後を見据えたオンライン活用プロモーションの事例は既に見受けられます。[旅前][旅中][旅後]のステップで見た場合、[旅前]を補完する取り組みに該当します。また、新しい取り組みとして、有料のバーチャルツアーの実験も行われているようです。これは[旅中]経験の置き換え(または事前体験/追体験)になるでしょう。

どのような切り口が考えられそうか

 先行事例を含めた上で、切り口の整理を試みたのが次のマトリクスです。個々の企業が取り組むことというよりも、地域単位の取り組みや制度も含まれているとは思います。横軸にはターゲット(圏内の近隣客/圏外客)と接点(直接/オンライン)、縦軸にはターゲットの行動の主目的として、[観光行動][非観光行動][愛着行動]としています。愛着行動は、その地域に対する思い入れから発する行動の意で使っています。著しく減少状態にあるのは圏外客の実需です。

 [観光行動]のゾーンは、実際の来訪促進(クーポン割引)が展開され、圏外客であれば「GoToTravel」、圏内であれば「どうみん割」が該当しますし、星野リゾートが提供するマイクロツーリズムもこのゾーンと思います。先に触れた圏外客へのオンラインでの「バーチャルツアー」もここにプロットしました。

 [非観光行動]のゾーンは圏内では、施設の利用用途提案としてホテルのテレワーク支援、ホテル住まい(レジデンス)、医療従事者向けサービス等がありました。圏外客に対しては、観光的要素もあるワーケーション、日頃とは異なる仕事を出張先で担当するワークシェアの提案がされています。現在は展示会や会議などの大規模なMICEはある程度制限されていると思いますが、類したものとして職業体験/学習という切り口はありそうです。事例としては、観光要素も含みますが『農泊』(農山漁村において日本ならではの伝統的な生活体験や地元の人々との交流を楽しむことができる農山漁村滞在型旅行)の展開、また京都で展開されたフォルケホイスコーレ「京都町衆文化が根付く商店街で学ぶ、人生のためのリカレント」などは面白い取り組みだと思います。後者は、言わば人生を考える大人のための短期留学旅行のような位置付けで、デンマークの教育機関であるフォルケホイスコーレをコンセプトにしているようです。

[愛着行動]のゾーンでは、「サポート/応援」としてクラウドファンディング(利用権の事前販売を含む)が代表格だと思います。

北海道への愛着を活かす方向性

 個人的には圏外×愛着行動のゾーンに可能性を感じています。わかりやすいものとしては「特産品EC」が挙げられると思います。海外向けの越境ECは道内でも進んでいるようですし、岐阜県では中国のWeChatに名産品を販売する特産品モールを開設しました。道内でしか購入できなかった商品の通信販売は国内においても力を発揮するはずです。これを単独の商品販売に留めるのではなく、名産品を介した北海道体験を提供する機会にすることができるのではないか、と思います。

 また「ファンコミュニティ」という観点で、何らかのゆかりの地/聖地として、オンラインとオフラインを組み合わせた体験を提供できる可能性があります。例えば秋田の大館地区では「秋田犬」の故郷として犬愛好家に向けた展開がなされています。沖縄では「新生活様式対応型沖縄空手ツーリズム」と題し、空手の聖地であることに基づいた展開がなされています。ヒントになるのではないでしょうか。幸いなことに、北海道のファン層の拡がりは全国屈指であり、地域ブランドは高く評価されています。ファンが多い地域だからこそ、新しい試みに対する関心を集められるポテンシャルがあるはずなのです。

 アルムナイ(卒業生、OB/OG)に該当する人も多いと思います。他地域に引っ越してしまった北海道出身者、北海道での生活経験者(転勤族など)、北海道にゆかりを持つ関係者の保有者(親戚が北海道)などは、強い北海道への愛着を持っている人が多いと思うのですが、このような人を北海道サポーターとして活かせる仕組みはまだまだ検討の余地があるように感じます。 

誰に(ターゲット)に、何(北海道との関わり/体験)を、どのように提供するか。ポイントはサービスの作り方だと思います。

アイデアレベルの例になりますが

  • 北海道を故郷のように感じたい人に対してできるオンライン&オフラインのサービスは何か。
  • 北海道に別荘を持つ気分を味わいたい人に、バーチャル別荘の仕組みを作って権利を販売するようなサービスは考えられないか。
  • 自分の苗木を森に植えて、世話をしてもらうサービスの権利の販売。特定の農地で生産される道産品に対する事前購入と、生育プロセスを知らせてもらえるような仕組みはどうか。

などのように、実際の「物(品)」と「こと」を組み合わせ、それをオンラインでつなぐサービス(関係性の構築)によって、北海道に対する関心と消費を高める方法を検討することができないでしょうか。規模には限界があるでしょうが、観光業の持続可能性の一助になるチャレンジを考えたいものです。

顧客とのリレーションを重視したマーケティングへ

なお、これらに取り組む上では、観光業においてもリピーター促進施策やCRMの考え方を取り入れていく必要もあると考えます。通常の物販やサービス業と比較すると、宿泊業等の一部を除いて観光事業では遅れていた点ですが、支えてくれる重要顧客(サポーター)との関係値を強めていく上で不可欠となるでしょう。このようなマーケティングの考え方の転換も、観光業には求められていると感じます。元に戻すことではなく、進化させることを目指して、支援活動に引き続き関わっていけたらと思っています。

SDGs経営×補助金を考える

この一年、中小企業の皆様におかれましてはコロナ禍でとても厳しい経営を強いられていることと思います。特に飲食店、観光業、旅行業などは厳しさが増していることと思います。

ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するために中小企業を支援するため、国は大型の補助金を打ち出しています。(経済産業省)

従来の「ものづくり補助金」「IT導入補助金」「持続化補助金」の三大補助金に加えて、今年度から2年間での予算額1兆1千億円を超える補助金として、「事業再構築補助金」が大きな目玉となっています。

今までの「ものづくり補助金」の上限額が1,000万円ですので、この補助金はなんと6倍の6,000万円が上限となります。(中小企業の場合)
この補助金の公募要領が出るのが、3月中と言われており、第一次公募期間は約1か月と発表されています。そのほかに今年度は4回公募がある予定です。

この補助金を活用して、SDGs経営を意識した事業再構築を考えてみてはどうでしようか。その活用イメージは後で述べるとして、まず補助金の概要を簡単に説明したいと思います。

目的

  • ポストコロナ・ウィズコロナの時代の経済社会の変化に対応するため、中小企業等の思い 切った事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的とします。
  • 新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編がキーワードとなります。

要件

  1. 申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前の同3か月 の合計売上高と比較して10%以上減少
  2. 事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に 取り組む
  3. 補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加、 又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加

補助額と補助率

  • <通常枠> 
    • 補助額 100万円~6,000万円    補助率 2/3
  • <緊急事態宣言特別枠>
    • ※上記1~3の要件に加え、緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等により影 響を受けたことにより、令和3年1~3月のいずれかの月の売上高が対前年または前々年の同月比で30%以 上減少している場合
    • 補助額
      • 従業員数5人以下 :100万円~500万円
      • 従業員数6~20人 :100万円~1,000万円
      • 従業員数21人以上 :100万円~1,500万円
        • 補助率 中小企業3/4

  補助対象経費

  • 建物費、建物改修費、設備費、システム購入費、外注費(加工、設計等)、 研修費(教育訓練費等)、技術導入費(知的財産権導入に係る経費)、広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)等
    • 【注】 補助対象企業の従業員の人件費及び従業員の旅費は補助対象外

以上補助金の概要を説明しましたが、以下にSDGsを意識した経営と「新分野展開」、「業態転換」、「事業・業種転換」、「事業再編」のキーワードをかけ合わせて、補助金を活用してはいかがでしようか。経産省が活用イメージを示していますので見てみましょう。

ポストコロナ・ウィズコロナの時代を生き抜き、持続可能な企業を目指して挑戦を期待します。

補助金活用イメージ

  • 活用例1 【目標3】すべての人に健康と福祉を
    • <飲食業> 
    • 弁当販売 ➡新規に高齢者向けの食事宅配事業を開始。地域の高齢化へのニーズに対応。
  • 活用例2 【目標3】すべての人に健康と福祉を
    • <小売業> 
    • ガソリン販売 ➡新規にフィットネスジムの運営を開始。地域の健康増進ニーズに対応。
  • 活用例3 【目標7】エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
    • <製造業> 
    • 半導体製造装置部品製造 ➡半導体製造装置の技術 を応用した洋上風力設備の部品製造を新たに開始。 
  • 活用例4 【目標9】産業と技術革新の基盤をつくろう
    • <製造業> 
    • 航空機部品製造 ➡ロボット関連部品・医療機器部品製造の事業を新規に立ち上げ。
  • 活用例5【目標9】産業と技術革新の基盤をつくろう
    • <情報処理業> 
    • 画像処理サービス ➡映像編集向けの画像処理 技術を活用し、新たに医療 向けの診断サービスを開始。

※事業再構築補助金の詳細については、こちらをご覧ください。

この他にも活用イメージが紹介されています。
PAGE TOP